公開日 2019年09月11日
令和元年8月9日(金曜日)、中学生・高校生を対象にした公開講座「ふるさとの空を守ろう~PM2.5の謎を解き明かそう~」を当研究所で実施しました。
中学生・高校生の皆さん、プログラムへの参加、ありがとうございました。
- 開講式では、「ひらめき★ときめきサイエンスKAKENHI」の趣旨と体験の流れについて、当研究所・環境研究部の和田主任研究員より説明しました。
- 大阪府立大学よりお招きした定永先生による講義では、アロマオイルなどを例に挙げ、分かりやすくPM2.5の基礎知識について学びました。
- PM2.5について詳しく知るため、グループに分かれて様々な体験をしました。
- 体験「電子顕微鏡での観察」
PM2.5は、空気中に浮遊している、粒径が2.5マイクロメートル(※)以下の小さな粒子のことです。
どれぐらい小さなものか、電子顕微鏡を用いて塩の結晶やアリの体表などと比較しました。
(※)1マイクロメートルは1ミリメートルの千分の一
- 体験「濃度測定」
私たちの周りにあるPM2.5は、実際の濃度はどれぐらいなのでしょう?
簡易センサーを使って測定しました。
・蚊取り線香の煙は?
・自動車の排気ガスは?
・ドライアイスの煙は?
- 体験「サンプリング(捕集)」
PM2.5を測定するためには、まず、大気中から捕集してサンプルを作成する必要があります。
捕集装置の準備を体験しました。
・捕集装置にセットする、「ろ紙」を準備します。準備中にPM2.5以外のもの(ほこりなど)がつかないよう、マスクや白衣を着て作業しました。
・準備した「ろ紙」を捕集装置にセットしました。
- 体験「分析作業」
PM2.5は小さな粒子ですが、その正体は何でしょう?
研究所が行っている実際の業務では様々な物質について分析しますが、今回の体験では海から運ばれてくる「海塩粒子」を分析すると想定し、塩化ナトリウムの分析体験をしました。
捕集装置は、1時間あたり立方メートル、1日(24時間)では24立方メートルの空気を吸引し、それに含まれるPM2.5がろ紙に吸着されます。
PM2.5の環境基準値は、1日平均値で、1立方メートルあたり35マイクログラムです。
もし、空気中に含まれるPM2.5が環境基準値と同じ濃度であった場合、1日の捕集で、ろ紙には840マイクログラム=0.84ミリグラムのPM2.5が吸着されます。
「0.84ミリグラム」の「塩化ナトリウム」を分析するには、どんな作業をするのでしょう?
自分で計量した塩化ナトリウムを、分析機器で測定しました。
・精密天びんで、「0.84ミリグラム」になるよう、塩化ナトリウムを計量しました。
・計量した塩化ナトリウムを水に溶かし、分析機器に入れるための試験液を作成しました。
・分析機器にセットしました。
- 体験を元に、PM2.5を減らすためにはどのようなことができるか、グループで話し合いました。
- 最後に、当研究所・環境研究部の木田部長から、「未来博士号」を授与しました。
参加した皆さんからは、「実際に機器を触って体験できるのがとてもよかった。普段はできない体験だった。」「講義も分かりやすい説明で、実験スタッフも丁寧に面白く手伝ってくれた。あっという間の1日だった。」などの感想をいただきました。
学生の皆さんに「科学って、面白い!」「大阪の環境をよりよいものに!」と思っていただけるよう、研究所は今後も様々なイベントなどを通じて情報発信してまいります。
備考
「ひらめき☆ときめきサイエンス」は日本学術振興会の事業で、現在、活躍している研究者と大学の最先端の研究成果の一端を小中高生が直に見る、聞く、ふれることで、参加者に科学のおもしろさを感じてもらう日本学術振興会主催のプログラムです。
- プログラム番号:19HT0184
- プログラム名:きみも空の見守り隊になろう!PM2.5ってどんなもの?
- 実施代表者:和田匡司
詳細については、こちら(日本学術振興会 ひらめき☆ときめきサイエンスのページへ移動します)
関連リンク
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環境研究部 環境調査グループ
担当:和田
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