公開日 2022年01月17日
環農水研では令和3年12月27日(月曜日)、中学生・高校生を対象にした公開講座「ふるさと科学捜査班 おおさかの大気と水を守ろう」を開催しました。
プログラムに参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。
- 環農水研で取り組んでいる環境研究の紹介。
和田主任研究員より「微小かつ低濃度のばい煙に対応したダストモニタの性能評価手法の開発」に関する紹介。
野呂研究員より「マイクロプラスチックに吸着した有機化合物は安定なのか?-光分解の可能性-」に関する紹介。
伴野研究員より「マトリクス効果と分配定数の類型化による農薬一斉分析でのサロゲート選択手法の構築」に関する紹介。
- 環境問題と環境分析の講義。
神戸大学よりお招きした吉田先生(環農水研OB)より、もののけ姫の世界などを例に、ご自身の研究や環農水研で行っている環境分析の役割について、分かりやすく解説していただきました。
- クロマトグラフィーを用いた分析体験。
クロマトグラフィーとは、物質の吸着力の差によって分離する、化学分析ではよく使う手法です。代表的な「カラムクロマトグラフィー」「ペーパークロマトグラフィー」「薄層クロマトグラフィー」について、科学捜査の要素を取り入れながら、直接「見て、聞いて、やってみる」ことで環境分析の楽しさを体感しました。
- 体験1「カラムクロマトグラフィー」
・クロマトグラフィーによる分離の仕組みを、大きなカラムでインクを色ごとに分けることにより解説。
・実際に野菜の抽出液の分離に挑戦。きれいに分離するため、慎重に、スポイトでカラムに溶媒を流します。
- 体験2「ペーパークロマトグラフィー」
急遽現れた犯行声明? 川を汚そうとする犯行を防ぐため、科学捜査のお手伝いをすることに・・・。
ペーパークロマトグラフィーを利用して、容疑者の所持するペンのインクを分析しました。
・容疑者のインクの成分を調べるための試験用ろ紙を丁寧に作成。
・犯行声明のインクと同じ特徴を持つペンをみつけるため、各試験用ろ紙を展開。
- 体験3「薄層クロマトグラフィー」
容疑者は2人に絞られた!さらに薄層クロマトグラフィーで犯人を特定。
・TLC(薄層クロマトグラフィー)プレートを分割し、抽出液をパスツールピペットで滴下した試験片を作成。
・犯人を特定する手掛かりとなる成分が検出されるのはどちらか?ブラックライトを当てて様子を観察。 ・見事、犯人を見つけることができました! - 環境問題のディスカッション
参加した皆さんの問題意識を基に、身近な環境の課題やその解決に向けてグループで討論。
- 最後に、「未来博士号」をお渡ししました。
参加した皆さんからは、「実際の仕事の内容を知れてよかったです。他人事ではなく自分も環境について考えることが大事だと思いました。」「実際に研究室を見学したり、研究体験ができたのがとても刺激的だった。」「大学の先生の話を聞けたのもよい経験でした。」などの感想をいただきました。
若い皆さんに「科学って、面白い!」「大阪の環境をよりよいものに!」と思っていただけるよう、環農水研は今後も様々なイベントなどを通じて情報発信してまいります。
備考
「ひらめき☆ときめきサイエンス」は日本学術振興会の事業で、現在、活躍している研究者と大学の最先端の研究成果の一端を小中高生が直に見る、聞く、ふれることで、参加者に科学のおもしろさを感じてもらう日本学術振興会主催のプログラムです。
• プログラム番号:21HT0161
• プログラム名:ふるさと科学捜査班~おおさかの大気と水を守ろう~
• 実施代表者:和田匡司
詳細については、こちら(日本学術振興会 ひらめき☆ときめきサイエンスのページへ移動します)
関連リンク
■お問い合わせはこちら
環境研究部 環境調査グループ
担当:和田
[TEL]072-979-7069
[FAX]072-956-9790