公開日 2022年02月28日
環農水研では、箕面市・みのお山麓保全委員会と共同で、2022年2月11日(金曜日・祝日)に みのお山とみどりのフェスティバル生物多様性研究フォーラム「箕面の外来生物と生物多様性」を開催しました。
当日は、全国から研究者や行政機関、関係団体や環境系企業の皆さまなど、129名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
内容
【基調講演】
大阪府立大学名誉教授・大阪府立環境農林水産総合研究所 理事長 石井 実
「箕面・北摂地域の生物多様性と外来生物問題」
箕面・北摂地域の自然、重要里地里山ホットスポット、野生鹿と外来生物のリスク、外来生物問題と対応などの話題提供をしました。
侵略的外来種の早期発見、侵入初期の緊急防除対応(予算確保を含む)などの初期対応が重要であり、地域住民や専門家、行政と連携した対策を実施することが外来種対策を成功させるパターンであるなどの提言をしました。
【報告】
大阪府立環境農林水産総合研究所 生物多様性センター 幸田 良介
「大阪・箕面の生物多様性を脅かす外来生物の現状」
大阪は外来生物問題の最前線地域であり、対策には普及啓発の強化と継続的な取り組みや、市民の目も活用した監視体制の構築と素早い対策実施が必要であり、情報の集約と発信の拠点として、生物多様性センターの役割を強化したいとの報告をしました。
株式会社 バイオーム 代表取締役 藤木 庄五郎氏
「市民参加型の生物多様性モニタリングの現在と展望」
生物多様性を守るために、スマートフォンに着目し、生物多様性を楽しみながら調査ができるいきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」(いきもの全種に対応した名前判定AI)を開発しており、市民による投稿が特定外来種の早期発見(アラート)につながるケースもあるほか、生物多様性の4つの危機に関する課題を取り上げて開発に取り組んでいくとのご報告をいただきました。
林野庁 近畿中国森林管理局 箕面森林ふれあい推進センター 中田 茂巳氏
「エキスポ90みのお記念の森での生物多様性保全に向けての取組」
箕面森林ふれあい推進センターとして、地域の団体や関係行政との協働の仕組みの中で、増えすぎたシカの食害対策を含めた自然再生の推進、フィールドを活かした環境教育の取組などを実施しているとのご報告をいただきました。エキスポ’90みのお記念の森「箕面体験学習の森」に是非おいで下さいとの呼び掛けがありました。
【ディスカッション】
ここまで話題提供をした4名がパネラーとなり、NPO法人みのお山麓保全委員会事務局の高島氏が参加して、ディスカッションを行いました。
箕面の彩都地区で生息域を広げている特定外来生物ナルトサワギクを取り上げて、外来生物対策の進め方について意見交換を行いました。早期発見、早期対応の重要性と市民や専門家、行政を含めた取り組みが必要であるとの意見で一致しました。
次に、箕面・北摂地域の生物多様性保全の今後について、増えすぎたニホンジカ対策を中心に、生態系の健全性回復などについて意見交換を行いました。
防鹿柵の設置による植生の保護や頭数管理、モニタリング調査、市民への啓発などの対策強化に取り組む必要性を確認しましたが、抜本的な対策は難しく、次の研究フォーラムへの課題を残しました。
終わりに、環農水研理事長 石井実より、かつては日本三大昆虫の生息地と呼ばれた生物多様性のホットスポットである箕面の森の保全のためには、まずは市民が目の前の外来生物を認識すること、そして市民と連携した監視を行っていくことが必要である、と提言しました。
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当日の各講師の発表資料につきましては、NPO法人みのお山麓保全委員会「みのお山なみネット」ブログ『みのお山とみどりのフェスティバル生物多様性研究フォーラム「箕面の外来生物と生物多様性」(2/11)を開催しました。当日資料の概要を公開しましたので、ぜひご覧ください!』に掲載されております。
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生物多様性センター (環境研究部 自然環境グループ)
担当:幸田・近藤・丸山
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