公開日 2022年07月15日
環農水研生物多様性センターは、野生動物の保護管理のため、野生動物のモニタリング調査を行っています。
2022年4月8日に、大阪府泉佐野市南部の犬鳴山付近の森林内で、大阪府内で初めて国の特別天然記念物であるニホンカモシカを確認しました。
- ニホンカモシカは、野生動物調査のために設置していた赤外線センサー付き自動撮影カメラで撮影された動画から確認されました。
- 約2ヶ月間設置した2台のカメラで1度しか撮影されていないことから、まだ定着して縄張りをつくる前の、親の行動圏から分散途中の若い個体ではないかと考えられます(注)。
- 確認された個体は、今回の確認場所から最も距離の近い紀伊山地の個体群から分散してきた可能性が高いと考えられます(下図参照)。紀伊山地の個体群は、環境省レッドリスト2020で「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。
- 生物多様性センターでは引き続き大阪府南部での野生動物調査を進めながら、得られた情報を行政機関と共有し、ニホンカモシカが誤って捕獲されないよう注意を呼びかけるなど、保全策に役立てていきます。
※これらの経緯については、大阪市立自然史博物館が編集する月刊誌「Nature Study」の8月号(68巻8号)に掲載予定です
※ニホンカモシカを撮影した動画は、Youtube環農水研チャンネルからご覧いただけます。
【同時提供】大阪府教育委員会:大阪教育記者クラブ
泉佐野市教育委員会:泉佐野市政記者クラブ
今回の確認地点と、周辺でのニホンカモシカの分布情報*
*周辺での分布情報は、環境省自然環境局生物多様性センターによる「平成30年度(2018年度)中大型哺乳類分布調査 調査報告書」をもとに作成
注:ニホンカモシカ(Capricornis crispus)
・ウシ科カモシカ属に属する日本固有の哺乳類。
・1955年に国の特別天然記念物に指定された。
・近畿地方では京都府や滋賀県の北部、鈴鹿山脈、紀伊山地に分布する。
・成獣は雌雄を問わず縄張りを形成し、長期間にわたってそれを維持する。
・大半の個体は2,3歳程度の若いうちに親の行動圏から離れ、分散する。
・近年、これまでの分布域から周辺地域へと分布を拡大させる傾向が全国的にみられる。
添付資料
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担当:幸田・石塚
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