大阪府立環境農林水産総合研究所

[環境][報道]国の天然記念物“イタセンパラ”の稚魚を今年も確認しました! 淀川での野生復帰の取り組み

公開日 2022年08月29日

環農水研 生物多様性センターでは、淀川水系で野生絶滅の危機に陥ったイタセンパラ※1(国の天然記念物、国内希少野生動植物種)の野生復帰を目指す取り組みを国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所と共同で進めています。

その一環で、今年もイタセンパラの稚魚の確認調査を行いました。

 

  • 今年は、淀川の城北(しろきた)ワンド※2群(大阪市旭区)で、80個体のイタセンパラの稚魚を確認しました。これは、野生復帰への取組みとして平成25年10月に放流を行った500個体が、追加放流なしに淀川で自然繁殖を繰り返した第10世代目と考えられます。
  • 毎年個体数の増減はありますが、寿命が一年であるイタセンパラは繁殖や成長などの諸条件によって個体数に大きな年変動がみられることが知られています。
  • 今年も稚魚が確認できた要因のひとつとして、さまざまな団体や行政機関などが連携する「淀川水系イタセンパラ保全市民ネットワーク」(略称「イタセンネット※3」)が、外来魚や外来水草の駆除を継続的に実施していることで、ワンドの環境が良好に維持されていることがあげられます。引き続きイタセンネットなどと連携し、環境保全活動や調査を実施してまいります。
  • イタセンパラの捕獲は種の保存法、文化財保護法で禁止されています。大阪府警旭警察署の協力のもと、「城北わんどイタセンパラ協議会」(事務局:環境省近畿地方環境事務所)がパトロールを実施しています。

 

※1 イタセンパラ

イタセンパラは現在、大阪府淀川、富山県氷見市、濃尾平野の河川にのみ生息する日本固有種です。淀川ではワンド※2に生息し、その可憐な姿などから“淀川のシンボルフィッシュ”と呼ばれています。1974年に国指定の天然記念物、1995年に種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されました。

※2 ワンド

川の本流に沿ってある池状の場所をいい、本流とつながっているか、増水時に接続するような水域のことです。池のように流れが無いか、あっても非常に緩やかで、多くの淡水魚の生息場所となっています。

 

※3 淀川水系イタセンパラ保全市民ネットワーク(イタセンネット)

市民団体、大学、企業、行政などで構成され、淀川においてイタセンパラが生息できる生態系を保全するための活動を行っています。2011年8月28日設立、2022年8月現在43団体。

 

問い合わせ先

調査結果の評価に関して

大阪府立環境農林水産総合研究所 生物多様性センター

総括研究員 上原一彦 (うえはら かずひこ)

主任研究員 山本義彦 (やまもと よしひこ)

電話  072-833-2770

 

調査全般に関して

国土交通省 近畿地方整備局 淀川河川事務所

副所長             幅岸修一(はばぎし しゅういち)(内線206)

河川環境課長  松本光一郎(まつもと こういちろう)(内線361)

電話  072-843-2861

 

同時提供

国土交通省 近畿地方整備局 淀川河川事務所:近畿建設記者クラブ、大手前記者クラブ

 

添付資料

 

■お問い合わせはこちら

生物多様性センター (環境研究部 自然環境グループ)

担当:上原一彦、山本義彦

[TEL]072-833-2770

[FAX]072-831-0229