大阪府立環境農林水産総合研究所

図鑑

大阪湾の生き物図鑑

大阪湾珍魚発見

サヌキメボソシャコ

思い起こせば数十年前!

2012年12月13日に泉佐野市沖で操業していた石げた網漁船に同乗していた研究員が1ぴきの小さなシャコを見つけました。体の形が普通のシャコとは違っており、水産技術センターに戻って調べたところ「サヌキメボソシャコ」という名前だと分かりました。

名前の由来は、その小さな眼にあります。右の写真は、サヌキメボソシャコとシャコの眼の部分(赤丸で囲ったところが眼です)を拡大したものです。 シャコの眼に比べると、サヌキメボソシャコの眼は細く小さく、眼柄の先にちょこんとついている感じです。 「香川県で採れた眼が細いシャコ」から名前がつけられたため「サヌキメボソシャコ」なんだそうです。
 
調べてみますと、サヌキメボソシャコは瀬戸内海や西日本の各地で採集例があり、外海よりも内湾域が主な生活場所のようです。
 
1981年~2003年にかけて水産技術センターが大阪湾で行ってきた調査でとれたシャコ類についてとりまとめた結果では、 シャコを含め7種のシャコの仲間が確認され(下写真)、中にはクロビシトゲシャコやナンキシャコ、オキナワシャコのような 珍しい種類や国内でも記録が少ない種類がいましたが、その時にもこのサヌキメボソシャコは確認されませんでした。 「今回が大阪湾初記録か!」と色めき立ちましたが、大阪市立自然史博物館に大阪湾でとれたサヌキメボソシャコの標本が保管されている ことが分かりました。残念と思いきや、その記録を見てみると、採集されたのがモントリオール・オリンピックが開催された1976年、 採集者は水産技術センターの前身の大阪府水産試験場の職員でした。ロンドン・オリンピックがあった2012年、36年ぶりに我々の眼前に姿をみせたサヌキメボソシャコ、次に姿をみせるのは いつのオリンピックの年になるのやら?!

(上段左から)シャコ、オキナワシャコ、スジ

(下段左から)トゲシャコ、クロビシトゲシャコ、ナンキシャコ

大阪湾に生息するシャコ類
(上段左から)シャコ、オキナワシャコ、スジオシャコ、セスジシャコ
(下段左から)トゲシャコ、クロビシトゲシャコ、ナンキシャコ
今回の生物のデータ
 
◆名前サヌキメボソシャコ
◆捕獲日平成24年12月13日
◆大きさ全長 約6センチ
◆採集場所泉佐野市沖