大阪府立環境農林水産総合研究所

図鑑

淡水魚図鑑(在来種)

ヤ行

ヨドゼゼラ

ヨドゼゼラ

ヨドゼゼラ Biwia yodoensis は2010年に新種記載されたコイ科カマツカ亜科に属する小型の底生性純淡水魚である。ヨドの名がつくように淀川水系にのみ分布する固有種である。吻が短く丸く、口が小さく下向きで、口ヒゲがない。近縁種であるゼゼラとは、体高や尾柄高が高く、背鰭の外縁がオスで写真のように外側に膨らみ鋸歯状に、メスと未成魚で直線状になる、側線鱗数が少ない(34~35 vs. ゼゼラ36~38)ことなどで見分けられる。
 本種は淀川のワンドやタマリ、農業水路などの砂泥から泥底に好んで生息する。産卵期は4月から7月上旬で、比較的浅い水域の陸生・抽水植物の根やアオミドロに卵を産み付ける。オスは繁殖期になると色が銀黒色となり、背鰭が伸長するなど顕著な二次性徴を示し、産卵基質周辺に強いなわばりをもつ。卵は寒天質用物質に包まれ、互いにくっつきあってブドウの房のような卵塊となる。2,3日で孵化し、ワンドの中などで成長する。寿命はほとんどの個体が1年で、産卵後死亡する。
 近年、河川環境の悪化や水田地帯の消失による激減しており、環境省レッドリスト2020では「絶滅危惧IB類」、大阪府レッドリスト2014では「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されている。


動画でヨドゼゼラを観察して頂けます。NEW
ヨドゼゼラ産卵の様子