公開日 2020年07月14日
- 大阪府域では、2015年に大阪狭山市で初めて、特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の成虫が発見されましたが、その後、生息範囲を拡大させています。
- このまま放置すれば、サクラ、モモ、ウメなどの木を枯らしてしまうなどの被害が拡大する恐れがあります。
- 2017年および2018年に実施した140ヵ所での被害状況を解析した結果、成虫の年間移動距離の平均が約2km(最大約3 km)であることが判明しました。また、被害地域から連続する分布拡大だけではなく、推定を大きく上回る「飛び地」的な被害発生があることも明らかになりました(文献情報1)。
- すなわち、現在近隣で被害のない市町村でも被害発生リスクがあり、早期発見が、ますます重要であると考えています。
- 大阪府立環境農林水産総合研究所では、2018年2月に「被害対策の手引書(暫定版)」を作成(2019年7月に改訂:文献情報2)、これまで府民を対象としたシンポジウムや、市町村の担当者等を対象とした防除対策研修会などを開催し、被害の拡大を止めるための普及啓発を進めてきたところです。
- このことから、本研究所「生物多様性センター」では、クビアカツヤカミキリの「成虫」と、樹木の中にいる幼虫を発見するポイントとなる「フラス(木くずや糞の混合物)」の標本を作製し、大阪府内の全43市町村に配布します。
- さらに、同センター内において、7月14日から成虫発生期間(8月上旬)まで、西日本では初めてクビアカツヤカミキリ(成虫)の「生体展示」を行います。
- 今後も調査研究を進めるとともに、標本や展示も活用しながら普及啓発を促進し、おおさかの春を彩るサクラを守る取り組みにつなげていきたいと考えています。
クビアカツヤカミキリ
幼虫のいる証拠の「フラス」
研究所職員による標本づくり
府内全市町村に配布した「標本」
文献情報
- 山本優一ほか、「サクラ類等樹木を加害する外来種クビアカツヤカミキリの被害実態調査」、自然保護助成基金助成成果報告書 2020年28巻、 p. 24-35、DOI: 10.32215/pronatura.28.0_24
- 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所、「クビアカツヤカミキリ被害対策の手引書(改訂版)」、2019年7月版 17 pp. 、URL: https://www.knsk-osaka.jp/portal_info/doc/2019070500011/
添付資料
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