泉州水なすとGABA
泉州水なすはGABAが豊富で、調理の工夫により増加が可能
機能性が注目されるGABAは、アミノ酸の一種で、なす科野菜などに多く含まれ、また、植物内の酵素の働きでグルタミン酸から作られることが報告されています。環農水研では泉州水なすについて調査し、これまでに以下のことを明らかにしました。
1.泉州水なすはGABAを豊富に含む
平均GABA含有量:100グラムあたり 25.6ミリグラム、1個(可食部150グラムとする)あたり 38.4ミリグラム
調査対象はJAいずみの、JA大阪泉州の共選品出荷期間中(令和2年4~10月)のもの。
2.調理の工夫によりGABA増しができる
グルタミン酸脱炭酸酵素は、グルタミン酸(C5H9NO4)を脱炭酸することでGABA(C4H9NO2)を生成します。このことを利用し、グルタミン酸を含む調味料を用い、泉州水なすのもつ酵素の反応温度や時間を考慮した調理をすることで、料理中のGABA含有量を増加できます。「GABA増しレシピ」では、1食あたりの調理前の生なすと、「漬け置き」後のなすを調味料ごと分析し、GABA量が2倍以上になっていることを確認しました。
- GABA増しのための調理のポイント
- GABAの材料となるグルタミン酸を含む調味料をなすによく揉みこむ(袋等になすと調味料を入れ、なすがしんなりするくらい20回程度揉みこむ)
- 適温で酵素を働かす(30~40℃で30分または冷蔵庫で3時間漬け置きする、酵素が失活するので高温にしない)
- なすの外に流れ出たGABAも逃さず食べる(GABAは水溶性のため、流亡に注意する)
- 漬け置き時間の検討
ペースト化した水なすに調味料代わりのグルタミン酸を添加し、GABA増加について調査を行いました。40℃までであれば、保管温度が高い方が反応が早く進みます。
調査結果から、調理に適したGABA増しのための漬け置き時間を「30~40℃で30分」または「冷蔵で3時間」としました。
- 水なす果実中のGABAの分布
へたに最も近い部位で最も低く、果頂部に近づくにつれて高いことが分かっています。(環農水研調べ、論文投稿中)
泉州水なす(地域団体商標)とは
やわらかな皮でアクが少なく、ほんのりとした甘さとみずみずしさが特徴。大阪を代表する農林水産物のひとつです。
- 参考 GABAで報告されている機能性と1日摂取目安量
高めの血圧の低下 | 12.3~50ミリグラムの継続摂取 |
仕事や勉強などによる一時的・精神的なストレスや疲労感の軽減 | 28~100ミリグラムの単回摂取 |
睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)の向上 | 100ミリグラムの継続摂取 |
肌弾力の維持 | 100ミリグラムの継続摂取 |
加齢により低下する認知機能の一部である、記憶力(見たり聞いたりしたことを思い出す力)の向上 | 100ミリグラムの継続摂取 |
泉州水なすで、報告されている機能的効果が期待できる量のGABAを摂取することができます。
- 参考 機能性表示食品(生鮮食品)における機能性関与成分GABAでの届出事例(令和4年7月現在)
品目 | GABA含有量/1日摂取目安量 |
精米 | 12.3ミリグラム/炊飯後重量330グラム |
トマト | 12.3ミリグラム/65グラム |
ミニトマト | 20ミリグラム/130グラム |
パプリカ | 12.3ミリグラム/75グラム |
へちま | 20ミリグラム/200グラム |
ケール | 12.3ミリグラム/100グラム |
大豆もやし | 6.2ミリグラム/100グラム |
えのきたけ | 12.3ミリグラム/30グラム |
メロン | 28ミリグラム/90グラム |
バナナ | 6.2ミリグラム/120グラム |
ぶどう | 12.3ミリグラム/110グラム |
うんしゅうみかん | 12.3ミリグラム/270グラム |
桑の実 | 20ミリグラム/75グラム |
詳細は、「機能性表示食品の届出情報データベース(消費者庁ホームページ)」でご確認ください。 機能性表示食品制度では、「一日摂取目安量あたりの成分含有量」として、下限値を表示します。 泉州水なすでこの下限値を算出したところ、20ミリグラム/125グラムとなりました(令和2年度調べ、n=238)。
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