公開日 2018年05月22日
大阪府では大阪湾の魚介類資源を増やすため、魚介類の稚魚を生産し、放流する「栽培漁業」を推進しています。このたび、トラフグの種苗放流を下記により行います。
トラフグは潮通しのよい湾口部の海底で産卵し、その稚魚は一定期間を内湾で過ごした後、主に東シナ海へ回遊することが知られています。大阪湾では昭和40年頃まで漁獲がありましたが、その後、ほとんどみられなくなりました。全国的にも平成に入ってから減少し、漁獲が少ない状況が続いています。そのため、国や府県が連携してトラフグを増やす試みが行われており、稚魚の放流が各地で行われております。これまでの研究からトラフグは放流場所に戻ってくることが分かっています。
そこで、トラフグ消費量全国1位と言われている大阪府では、平成27年度より放流技術開発魚種としてトラフグを位置づけ、当研究所が試験研究を行い、栽培漁業センター※が稚魚の飼育や放流の支援を行っています。昨年度に引き続き、今年度も稚魚を放流サイズまで順調に育てる事が出来ました。この稚魚に他県の放流魚と区別出来るように標識をつけた後、大阪府中南部海域へ放流し、その後の生態について調査します。昨年度行った調査では、大阪湾内で育った放流魚が見つかり、回遊に向けて準備している様子が確認されました。瀬戸内海を西に移動し、関門海峡を抜けて東シナ海で成長した放流トラフグが、2~3年後には大阪湾に戻って来ると予想しており、引き続き調査を継続します。
トラフグは「てっちり」や「てっさ」で有名ですが、天然のものは非常に少なく高価です。大阪府でも水揚げはありますが、年間100kg程度です。放流したトラフグが順調に成長すれば、大阪産(もん)のトラフグが府民の皆さんの食卓に届くことが期待されます。
※ 公益財団法人大阪府漁業振興基金栽培事業場
記
放流種:トラフグ
放流尾数:1.0万尾
放流サイズ:全長7cm(体重約8g)
放流日時及び場所:5月25日(金) 10:30から二色の浜(貝塚市)
放流後の成長:2年で全長約40cm(体重約1.5kg)
トラフグの稚魚
平成29年度調査結果(放流魚の採捕場所)
平成28年12月18日に採捕された個体
添付資料
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