淡水魚図鑑(外来種)
魚類
タイリクバラタナゴ
本種はコイ科タナゴ亜科に属し、原産地はアジア大陸東部および台湾島。日本在来の ニッポンバラタナゴとは亜種関係にある( ニッポンバラタナゴとタイリクバラタナゴの見分け方)。 1942年にソウギョ、ハクレンなどの種苗に混じって日本に持ち込まれ、その後本州各地に分布を広げた。 府内でも淀川水系、大和川水系などをはじめ府内の河川・池沼に広く分布する。河川や水路では流れの緩い場所に生息しており、稚魚期は主にワムシなどの動物性プランクトンを食べ、成長にともなって底層に移動して主に付着藻類や小さな水生動物を食べる。
産卵期は3~9月で、オスがイシガイ科二枚貝を中心になわばりをつくり、メスはなわばりの貝の 出水管に1回で数個の卵を産む。メスの産卵管(※1)は長い。根元付近が赤くなるのはニッポンバラタナゴと本種の特徴である。 卵(※2)は電球形で、受精後30時間でふ化するが、その後も20日程度は貝の中に留まる。 前期仔魚(※3)には、貝の体内から排出されにくいように卵黄突起と呼ばれる翼状の突起があるが、これは本種の属するバラタナゴ属の特徴である。 本亜種は、ニッポンバラタナゴと容易に交雑するため、本種の生息域拡大につれて交雑種が増加して、純粋なニッポンバラタナゴが減少した。生態系被害防止外来種リストにおいて、「重点対策外来種」に指定されており、飼養に当たり野外への遺棄を起こすことがないよう留意することが必要である。
(※1)メスの産卵管
(※2)卵
(※3)前期仔魚