平成25年度粒子状物質調査結果の概要
平成25年度調査結果の概要
1 調査地点
【一般大気環境測定局】
大阪府立環境農林水産総合研究所 以下、「森ノ宮」と記す。
2 調査期間
各季節14日間連続捕集
3 PM調査結果の概要
粒径2.1 μm以上11 μm未満の粒子を「粗大粒子」、粒径2.1 μm未満の粒子を「微小粒子」と定義す
る。
(1)季節変化
【粗大粒子】
- 粗大粒子中の金属類は年平均で約18%、イオン成分は約29%、炭素成分は約14%であった。
- 粗大粒子濃度は、6.9-8.4 μg/m3の範囲であり、春季に最大値を示した。
- 金属類、イオン成分、多環芳香族炭化水素類は冬季に最大値を示した。
- 炭素成分濃度は、夏季に最大値を示した。【図1】
【微小粒子】
- 微小粒子中の金属類は年平均で約3.4%、イオン成分は約62%、炭素成分は約23%であった。
- 微小粒子濃度は、16-21 μg/m3の範囲であり、夏季に最大値を示した。
- 金属類、炭素成分、多環芳香族炭化水素類濃度は冬季に最大値を示した。
- イオン成分濃度は、夏季に最大値を示した。【図2】
【微小粒子の割合】
- PM濃度に占める微小粒子濃度の割合は、7割程度であった。【図3】
- PM中の各種成分濃度については、金属類は、微小粒子の占める割合の方が少なく3割程度であった。一方、イオン成分、炭素成分、多環芳香族炭化水素類は、微小粒子の占める割合の方が多く8割程度であった。
図1 粗大粒子中の各種成分濃度の季節変化(森ノ宮)
図2 微小粒子中の各種成分濃度の季節変化(森ノ宮)
図3 PM濃度の季節変化(森ノ宮)
(2)イオン成分濃度の粒径分布(季節平均による比較)
粒子の粒径分布は以下のとおり区分した。
- 粒径2.1 μm未満(PM調査)
- 粒径2.1 μm以上11μm未満(PM調査)
- 11 μm以上(フィルターパック調査)
【SO42-】
- 夏季で濃度が高くなった。
- 粒径分布は微小粒子が最も多く83.3-92.7%を占めていた。11 μm以上の粒子は夏季で最も多く12.7%となったが、秋季は0%となった。【図4】
【NO3-】
- 冬季で濃度が高くなった。
- 粒径分布は季節ごとにばらつきがあり、春季、夏季および秋季は粗大粒子が多く、冬季は微小粒子が多くなっていた。11 μm以上の粒子は27.3-49.0%を占めており、春季および秋季は粗大粒子とほぼ同じ割合を占めていた。【図5】
図4 SO42-の全粒子濃度と粒径分布の割合 図5 NO3-の全粒子濃度と粒径分布の割合
(3)平成13年度と平成25年度の炭素成分の濃度比較
森ノ宮における調査開始時(平成13年度、自動車排出ガス規制強化前)と現在(平成25年度、自動車排出ガス規制強化後)で最も大きく濃度が減少した項目である炭素成分について比較を行った。なお、炭素成分濃度は、平成13年度は熱分離法で分析を行ったが、平成25年度は熱分離光学補正法で分析を行った。熱分離法はOCの炭化によりECが過大評価(OCが過小評価)になることがいわれており、考察の際には留意する必要がある。
【EC濃度】
- 粗大粒子中では平成13年度の年平均値は1.3 μg/m3、平成25年度の年平均値は0.22 μg/m3で、大幅な減少がみられた。【図6-1】
- 微小粒子中では平成13年度の年平均値は3.6 μg/m3、平成25年度の年平均値は1.2 μg/m3で、大幅な減少がみられた。【図6-2】
【OC濃度】
- 粗大粒子中では平成13年度の年平均値は2.3 μg/m3であったが、平成25年度の年平均値は0.85 μg/m3に減少している。【図7-1】
- 微小粒子中では平成13年度の年平均値が3.3 μg/m3、平成25年度の年平均値が3.0 μg/m3とあまり減少はみられなかった。【図7-2】
図6-1 粗大粒子 平成13年度と平成25年度EC濃度比較 図6-2 微小粒子 平成13年度と平成25年度EC濃度比較
図7-1 粗大粒子 平成13年度と平成25年度OC濃度比較 図7-2 微小粒子 平成13年度と平成25年度OC濃度比較
■お問い合わせはこちら
環境研究部 環境調査グループ
[TEL]072-979-7064
[FAX]072-956-9790