大阪府立環境農林水産総合研究所

病気の原因と予防

病気の原因と予防

なぜ病気になるか

 池や川の魚が病気になって死ぬことはほとんどありませんが、養魚池や釣池あるいは金魚鉢などで飼育されている魚はしばしば病気にかかり死ぬことがあります。細菌や寄生虫などの病原体がいなければ病気になることはありませんが、病原体が魚の周囲にいても必ず発病するとは限りません。これは魚もほかの生物と同様、病気に対する抵抗力を持っているからです。しかし、飼育条件が悪く魚が弱ると病気に対する抵抗力も低下し病気にかかりやすくなります。

 したがって、病気を予防するには病原体の持ち込みを極力避けるとともに仮に病原体が侵入しても発病しないだけの抵抗力を魚が維持できるような飼育管理をしなければなりません。よく見受けられる悪い飼育条件とその改善策を表に示しています。また、「魚を飼っている水槽に新しい魚を入れたら、前からいた魚の具合が悪くなった。」という話を聞きますが、これは新しい魚が病原体を持ち込んだためと考えられます。魚に限らず水草や石なども新たに水槽に入れるものは予め消毒する必要があります。魚は市販の魚病治療、予防剤を溶かした水でしばらく薬浴し、水草や石は水道水を流しながらよく洗えばよいでしょう。

 病気は治すよりも出さないようにしましょう。 

やさしくしましょう

悪い飼育条件とその改善策
悪い飼育条件 改善策
狭いところに魚をたくさん入れすぎる 魚のふんや食べ残しの餌で水が汚れ、酸素不足になる→魚は水中の酸素をえらから呼吸している。水中の酸素が足りなくなると、魚は水面に口を開けてパクパクする、いわゆる"鼻上げ"を起こし著しく弱ってしまう。 最大収容量は1㎡(あるいは水1トン)あたり1kgである。例えば10㎡の池なら長さ40cm(体重1kg)のコイ10尾程度、水量50?の水槽なら金魚すくいのワキン(5g)10尾程である。
餌をやり過ぎる 観賞魚では5分間で食べつくす程度の餌を与える。
魚を乱暴に扱う 魚の体表はぬるぬるした粘膜で覆われ、外界から寄生虫や細菌などが体内に入るのを防いでいる。魚を乱暴に扱うと、この粘膜がはがれ、病気にかかりやすくなる。 魚を移動させるときはできるだけていねいに手ぎわよく行う。それでも目に見えない傷がつくので、抗菌剤で薬浴し細菌病の予防をする。

病気の魚を池や川に逃がさない

 最近による病気が発生したことのある養魚池や釣池などには病原菌が存在していますが、その起病力(病気を起こす力)は弱く、飼育管理が適切であれば発病することはありません。ところが、何らかの原因で病気に対する抵抗力の弱った魚が発病すると、病魚から起病力の強まった菌が体外に排出され、ほかの魚に次々と感染します。特に飼育密度の高い養魚池や釣池では魚を取りまく環境も悪く、まん延しやすいわけです。病魚をできるだけ早く見つけ取り除くことは、病気の蔓延を防ぐために大切です。

 飼育している魚が死にかけたとき、「かわいそうだから逃がしてやろう」と思われた方は少なくないと思います。もし、その魚が病気だとしたら、逃がした池や川の魚に病気をうつすことになります。ため池では府特産のカワチブナ(ヘラブナ)が養殖されているところがあり、そのような池に病魚が捨てられると、たちまち病気がまん延し大きな被害を出す恐れもあります。死にかけた魚はかわいそうですが、ほかの多くの魚たちのために土の中へ葬ってやってください。