大阪府立環境農林水産総合研究所

秋の高温対策

秋の高温対策

病害虫の発生予察等に留意するとともに下記の対策に努めて下さい。

1. 水稲

<高温による影響>

  • 登熟時の高温によって養分の蓄積が十分に進まず、玄米の全部又は一部が乳白化したり、粒が細くなる「白未熟粒」や胴割れ米が発生しやすくなる。

  • 高温により稲の生育が進んで出穂が早期化したり、登熟が進み、刈り遅れやすくなる。

  • 斑点米カメムシが多発する恐れがある。

<対策>

  • 収穫時期は出穂後の積算温度で決まるといわれているため、もみの熟度の進み具合や天候を見極め、適期収穫に心がけ収穫遅れにならないように注意する。

  • 多肥、過繁茂栽培を避ける。登熟時に、湛水状態や掛け流し灌水をするなど、通風と温度を下げる対策を行う。出穂後25~30日までは落水しない。

  • 適期防除に努める。

2. 野菜

<高温による影響>

  • 全般に生育が進み、収穫時期が早くなる。また、苗の活着不良や、発芽不良が生じやすくなる。

  • たまねぎの育苗では生育が進み、大苗となり、抽苔しやすくなる。

  • なすなどの施設育苗では、育苗中のハウス内温度が高くなる。

  • いちごの育苗では、花芽分化時期の遅延が生じる恐れがある。

<対策>

  • 生育が早いので適期収穫に心がけ、収穫遅れにならないように注意する。こまめな灌水や遮光資材の使用など、乾燥・高温対策を行い、活着を促す。

  • 施設育苗では、苗床の温度に注意し、遮光資材や細霧冷房装置の使用、換気に努める等適正な温度管理に努める。

2. みかん

<高温による影響>

  • 酸が減少しやすくなる。

  • 果実の着色が遅れる。

  • 影響の度合いは早生種が大きく、晩生種は小さい。

<対策>

  • 日当たりの悪いところでは枝を間引き、日当たりを良くする。

  • 排水の工夫をする。

  • 着果過多をなくすための仕上げ摘果を行う。

3. ぶどう

<高温による影響>

  • 温度が高くて水分が多い状況では遅伸びの心配がある。遅伸びにより、体内窒素が不足する可能性がある。

  • 着色不良や日焼け果が発生しやすくなる。

<対策>

  • ハウス栽培で遅伸びしている場合、枝の登熟を促進するための摘心等で伸びを抑える。

  • 定期的な撒水に努める。

4. 花き

<高温による影響>

  • 秋寒ぎくの花芽分化期(8月下旬以降)に高温が続くと開花が前進または遅れる傾向がある。特に寒ぎくは、高温の影響を受けやすい。

  • パンジーでは、高温による生育不良(徒長、枯死)が発生するとともに品質低下をまねく。特に10~12月出荷分での影響が大きい。

  • 花壇苗(サルビア、マリーゴールド等)の開花が前進する。

  • 球根冷蔵促成栽培のアイリス、フリージアでは植付け後の温度が高いと生育障害が発生しやすくなる。

アイリスでは、20℃以上(特に25℃以上)でブラスチング、開花のばらつきや遅延、花茎が短くなるなどの障害が発生しやすくなる。
フリージアでは、20℃以上の温度に当たると品種によって奇形花(花下がり)が発生しやすくなる。

<対策>

  • 施設栽培のきく、花壇苗では、通風や換気、西日を避ける工夫(遮光)等により、施設内の温度を下げる。

  • アイリス、フリージアでは、植付け前後の気温の推移に注意し、植付け時期を遅らせる。

特にフリージアでは、花下がりが発生しやすい品種は花芽を十分発達させてから植付ける。
また、植付け前後の十分なかん水、遮光による地温の低下と、球根を深めに植付けるなど、花芽が高温に当たらないようにする。