大阪府立環境農林水産総合研究所

水なすの褐紋病の防除マニュアル

水なすの褐紋病の防除マニュアル

大阪府の特産野菜である水なすは、果皮が柔らかく、みずみずしくアクが少ないため、漬物に適したなすとして泉州地域を中心に盛んに生産されています。しかし、水なすは病害に弱く、特に褐紋病の発生が品質のよい水なすを生産する上で大きな障害となっています。

 

褐紋病は、カビの一種(Phomopsis vexans Harter)が引き起こすなすの病気で、葉、茎、果実に発生し(写真)、苗の枯死や、収穫量の減少を引き起こします。28℃以上の気温で降雨の多い時期、即ち、梅雨の時期と重なって発生が増加します。府内では、一旦発生すると盛夏を過ぎる頃まで被害が続きます。

 

当研究所では、大阪府泉州農と緑の総合事務所農の普及課や大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループと連携し、褐紋病の伝染経路の解明と防除方法の確立に取り組みました。この病原菌は乾燥に強く、発病した水なすの葉や果実がほ場に残ると、次作(翌年)の発生源となり、被害拡大の原因になります。このため、発病した葉や茎、果実などは丁寧に取り除くことが重要です。また他の病害と同様に、排水や風通しを良くすることも大切です。なお、現在のところ褐紋病に使える農薬はありませんが、有効な防除薬剤を明らかにし、メーカーと協力して農薬登録を進めているところです。

 

このたび、得られた成果を基に褐紋病を効果的に防ぐための防除マニュアルを作成しました。大阪特産の水なすの安定生産につなげるため、防除マニュアルを活用していただきたいと思います。

 

なすの褐紋病対策(マニュアル)PDF版(1.08MBytes)

 

水なすの果実に発生した褐紋病

水なすの果実に発生した褐紋病