大阪府立環境農林水産総合研究所

 

Seasonal differences in the abundance of an ant-adapted parasitoid, Lysiphlebus japonicus (Hymenoptera: Aphidiidae), in ant-attended colonies of the spirea aphid Aphis spiraecola (Hemiptera: Aphididae) on citrus: comparison for two ant species, Lasius japonicus and Pristomyrmex punctatus (Hymenoptera: Formicidae)

タイトル

Seasonal differences in the abundance of an ant-adapted parasitoid, Lysiphlebus japonicus (Hymenoptera: Aphidiidae), in ant-attended colonies of the spirea aphid Aphis spiraecola (Hemiptera: Aphididae) on citrus: comparison for two ant species, Lasius japonicus and Pristomyrmex punctatus (Hymenoptera: Formicidae)

 

(邦題) アリが随伴するアブラムシコロニーにおけるニホンアブラバチ(ハチ目:アブラバチ亜科)個体数の季節的差異:アリ2種間(トビイロケアリとアミメアリ)の比較
 

著者名

金子 修治

 

掲載誌

Applied Entomology and Zoology, 2018, 53(3): 315-321

 

ハイライト

  • 柑橘などを食害するミカンミドリアブラムシに寄生するニホンアブラバチ*1は、生物農薬の候補となる。しかし、この寄生バチの個体数の変化に影響を与える要因は不明である。本研究では、ニホンアブラバチ個体数の季節変動を、アブラムシに随伴する2種のアリ(トビイロケアリ・アミメアリ)に着目して*2調査した。

  • トビイロケアリとアミメアリの比較では、晩春・真夏ともアミメアリが随伴するアブラムシのコロニーの方が、より多くのマミー*3が見られた。

  • 晩春と真夏の比較では、トビイロケアリの随伴するアブラムシのコロニーで、真夏にマミーの数が大幅に減少した。ニホンアブラバチの雌の数は、マミーの数と同様のパターンで変化していた。

  • 以上から、随伴するアリの種類によってアブラムシへのニホンアブラバチの寄生成功率が変化すること、個体数の変動は季節の影響を受けることが明らかとなった。この個体数変化のメカニズムと、その変化に伴う、アブラムシの生物学的制御に関する意味を検討する。

 

*1:日本と台湾に生息するアブラムシ寄生蜂(きせいほう)。単寄生性(アブラムシ1匹に対してニホンアブラバチは1個だけ卵を産み付ける)。寄生したアブラムシの体内で変態し、羽化までにアブラムシは死ぬ。

*2:アブラムシとアリは共生関係を築くことがあり、一般には、アブラムシが自身の排せつ物(糖分)を随伴アリに提供し、随伴アリはアブラムシを天敵(ここではニホンアブラバチ)から守ったりする。

*3:寄生蛹。アブラムシの外皮を殻として利用している、寄生蜂の蛹。

 

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