殺虫・殺菌剤を使用せず栽培したブドウ‘デラウェア’の新梢生育と果実品質
タイトル
殺虫・殺菌剤を使用せず栽培したブドウ‘デラウェア’の新梢生育と果実品質
(英題) Shoot growth and fruit characteristics of ‘Delaware’ grapevines cultivated without pesticides
著者名
細見 彰洋、他1名
掲載誌
新近畿中国四国農業研究, 2019, 2: 67-78
ハイライト
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本試験では、殺虫・殺菌剤を使用しなかった場合のブドウ樹体生育や果実品質の変化を‘デラウェア’で確認した。
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殺虫・殺菌剤を使わなかった露地栽培‘デラウェア’樹では、べと病*1などにより収穫期頃からの落葉が多発した。果実品質ではやや酸度が高い以外、慣行栽培樹と同等であった。しかし、供試樹は年々衰弱して結果母枝*2の確保が困難となった。
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人為的に葉を切除し、果実品質と新梢生育への影響を確認したところ、果実生長第I期*3に全葉を切除した場合に果粒の肥大や酸度の増大などが認められた。一方、果実生長第Ⅲ期以降の場合には明らかな影響は認められなかった。
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以上から、殺虫・殺菌剤の不使用で葉が損傷すると、果実生長第Ⅲ期以降の同化養分の供給を阻害し、果実品質への影響は少ないものの冬季の枯れこみを助長し、年数とともに樹体を衰弱させたものと推察された。
*1:糸状菌 Plasmopara viticola が感染して起こる病害。
*2:ブドウでは、その年に伸張した枝(結果枝)に果実が着く。結果母枝とは結果枝を出す枝のこと。
*3:ブドウの果粒は、急速に肥大(第Ⅰ期)、肥大が停滞(第Ⅱ期)、再び肥大(第Ⅲ期)の経過で生長する。
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