利用者の声
企業等からの依頼に応じて実施した受託研究等の成果は、依頼元企業等において製品やサービスの開発・改良に生かされています。本ページでは、実際に環農水研を利用された企業等にインタビューした、受託研究成果に対する効果や感想を掲載しています。
利用者の声 項目一覧
- カーボンニュートラルに資するワカメ増殖に関する実証および科学的評価手法の確立
- エレクトロダイナミック方式ダストモニタの性能評価
- 未利用部分の有用成分まで活用した「いわし甘露煮」製法の開発
- 解凍後のドリップを抑制し、出汁感あふれる冷凍出汁巻きの特許製法
カーボンニュートラルに資するワカメ増殖に関する実証および科学的評価手法の確立
利用者:製造業・H社
1.目的
カーボンニュートラル達成に向けて、海洋で取り込まれるブルーカーボン、特にCO2吸収・貯留量の大きい海藻による藻場の増大が期待されている。一方、海域に放流されている下水処理放流水に含まれる栄養塩類を適切に活用することで藻場の育成促進をめざしている。下水処理放流水に含まれる栄養塩類が及ぼす効果を検証したい。
2.課題
- 天候や潮流など外乱要素があるため、海域での試験だけでは下水処理放流水に含まれる栄養塩類による効果の明確な評価が困難
- ラボ内水槽での生育試験とすれば外乱要素は低減できるが、十分なサイズまで海藻を育成できる大きな水槽、十分な量の海水および海水冷却設備、光合成のための強力な照明設備が必要
- 異業種のため海藻の生育試験のノウハウがなく、試験の社内単独実施が困難
3.環農水研の支援内容
- 沿岸から汲み上げた海水をかけ流しできる複数の大型水槽を用いた海藻の生育比較試験の実施
- 重量増加量や色、栄養成分含有量の計測技術、および生育促進効果検証に向けたデータ分析、見える化 ⇒ 科学的評価手法
- 今後計画している海域の試験に向けたノウハウ提供
4.利用者の声
専門家の知見を活かして試験内容を計画頂くとともに実働も主体的に推進頂き、当社が期待していた通りの検証データを実績として得られた。
試験の中途段階(左が下水処理放流水の供給区、右が対照区)
エレクトロダイナミック方式ダストモニタの性能評価
利用者:関西オートメイション株式会社
1.目的
エレクトロダイナミック方式ダストモニタの性能を客観的に評価したい。
2.課題
- 適切な評価手法が確立されていないため、新たな評価基準の策定が必要
- 技術資料の信頼性を高めるため、第三者機関による検証と客観的な評価が必要
- さらなる技術向上のため、多角的な評価視点の導入が必要
3.環農水研の支援内容
- 環境技術実証(ETV)事業のもとで、ダストモニタの評価手法を開発
- 試験ダクト設備を用いた技術試験の実施、データ解析、および技術評価を実施
- 製品性能に関する客観的なデータの取得と報告書の作成
- 実証結果を公的な検証制度の公式記録として公表する支援
4.利用者の声
今回の支援を通じて、当社の技術に関する客観的な評価を得ることができました。これにより、技術資料の信頼性が向上し、顧客への説明の説得力も増しました。また、今後の技術開発に向けた新たな視点を得ることができ、非常に有益な機会となりました。今後も継続的に活用していきたいと考えています。
5.この支援成果の関連ページ
ETV の共通ロゴマークと性能評価に使用した試験ダクト設備
実証対象器の外観写真(関西オートメイション(株) VIEW370 及び Leak Alart65-02)
未利用部分の有用成分まで活用した「いわし甘露煮」製法の開発
利用者:株式会社舞昆のこうはら
1.目的
大阪産(もん)いわしを使用した、健康を訴求できる商品を開発したい。
2.課題
- 地元産原料に関する情報が必要
- 未利用部分に含まれるDHAやEPAなどの有用成分を活用する技術開発が必要
- 有用成分の含有量を保持できる製法が必要
3.環農水研の支援内容
- 地元産原料の有用成分の局在や季節変動等に関する情報提供
- 未利用部分(骨など)のペースト化による有用成分の富化製法の開発
- 製品中有用成分の安定性データの提供
4.利用者の声
共同開発によって、「お客様に楽しく健康に過ごしてもらいたい」という当社のポリシーに基づいた商品開発を実現できました。今後も、さらなる製法改良や、地元産原料の調達に関する情報などを期待しており、連携を継続していきたいと考えています。
5.この支援成果の関連ページ
解凍後のドリップを抑制し、出汁感あふれる冷凍出汁巻きの特許製法
利用者:株式会社ミレニアムダイニング
1.目的
冷凍食品の中でも出汁巻きは解凍時の離水・ドリップが著しい。特に当社は喫食時の出汁感を重視しており、解凍直後の離水を解決したい。
2.課題
離水を防止できる製法が必要
3.環農水研の支援内容
- 離水を防止する機能性添加物の探索
- 幾分かの離水した出汁も出汁巻きの構造内に保持する特許製法の開発
4.利用者の声
これまで取引先から紹介された離水抑制の添加物をどのように用いても解決しませんでした。
環農水研の支援によって適した添加物の種類・濃度、そして構造の最適な状態がわかり、離水・ドリップが解決しました。さらに特許まで取れたことで、次の助成金獲得など他の事業にも好循環となりました。
(左がサイリウムシードガム添加区、右が対照区)
サイリウムシードガム(食品添加物)を卵液に0.3%添加して焼成することで、冷凍出汁巻きの解凍時のドリップ発生を抑制できる。
無添加の冷凍出汁巻きを解凍した場合、右写真のように大量のドリップが発生する。
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企画部 企画グループ
[TEL]072-979-7070
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