大阪府立環境農林水産総合研究所

水産技術センター(岬サイト)

大阪府水産試験場研究報告   第14号

1.大阪湾における浮遊期仔魚の季節的分布
2.リングネット鉛直曳きとボンゴネット傾斜曳きによって採集されたイカナゴ仔魚数の比較
3.大阪湾中部沿岸域におけるマコガレイ稚魚の分布および食性について
4.大阪湾における外部標識オニオコゼの移動
5.大阪湾南部岬町沖に生息する底生魚類,大型甲殻類および軟体動物について
6.大阪湾南部に位置する人工砂浜に出現した魚類

大阪湾における浮遊期仔魚の季節的分布

山本圭吾
Seasonal Distributions of Fish Larvae in Osaka Bay
Keigo Yamamoto

大阪水試研報(14):1~10,2003
Bull.Osaka.Pref.Fish.Exp.Stat.(14):1~10,2003

1995年~1999年の丸特ネットの試料を用い,大阪湾における浮遊期仔魚出現の季節変化と 分布の特徴を調べ,それらと湾外系水流入との関係について検討した.その結果,仔魚の採集量は初夏から秋にかけて多く, 大阪湾での仔魚の採集量はカタクチイワシ,コノシロなど特定の魚種の増減に左右されること,大阪湾における種類数の多寡 は紀伊水道からの来遊量に影響されることなどが判明した.

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リングネット鉛直曳きとボンゴネット傾斜曳きによって
採集されたイカナゴ仔魚数の比較

日下部敬之・大美博昭
Comparison of the Number of Sand lance Ammodytes personatus
Collected by Vertical Tows of a Ring Net and
Double Oblique Tows of a Bongo Net
Takayuki Kusakabe and Hiroaki Omi

大阪水試研報(14):11~16,2003
Bull.Osaka.Pref.Fish.Exp.Stat.(14):11~16,2003

1999年と2000年の1月に,口径130cmリングネットの鉛直曳きと口径60cmボンゴネットの往復 傾斜曳きによるイカナゴ仔魚の比較採集を行った.その結果,ボンゴネットの方が大きな仔魚まで採集され,またどのサイズ においてもボンゴネットの採集効率がリングネットを上回っていて,その差は全長が大きくなるにつれて広がった.この原因は 両ネットの構造の違いと曳網速度の違いであると考えられ,ボンゴネットの往復傾斜曳きの方が,漁況予報のための仔魚採集調 査の方法として適していると判断された.

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大阪湾中部沿岸域におけるマコガレイ稚魚の分布および食性について

有山啓之
Distribution and food habit of juvenile marbled solePleuronectes yokohamae
in the middle coast of Osaka Bay
Hirouiki Ariyama

大阪水試研報(14):17~28,2003
Bull.Osaka.Pref.Fish.Exp.Stat.(14):17~28,2003

1996年4・5月と1997年3月に田尻町~泉南市樽井地先の砂底で潜水調査した結果,カレイ類稚魚 (マコガレイ主体)が多数生息していた(0.33~2.51尾/m2).マコガレイ稚魚の胃内容物を調べたところ,全長30mmまでソコミ ジンコ類やカラミジンコ類を主に摂餌するが,小型甲殻類が少ない場合には多毛類も多食する,成長し30mm以上になるとク-マ類 やヨコエビ類に,60mm程度から多毛類へ食性を変化させていくと推察された.稚魚の分布とベントス量や底質との間に有意な相関 はなかった.

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大阪湾における外部標識オニオコゼの移動

佐野雅基
Migration of Tagged Devil Stinger Inimicus japonicus in Osaka Bay
Masaki Sano

大阪水試研報(14):29~36,2003
Bull.Osaka.Pref.Fish.Exp.Stat.(14):29~36,2003

外部標識のスパゲティタグを付けたオニオコゼ大型種苗の放流を1996, 1997,1999年に岬町谷川,深日,淡輪と阪南市尾崎及び泉南市樽井で延べ5回実施し,その再捕状況から放 流魚の移動を調べた.放流後18~1017日に再捕された標識魚の内,64.1%が放流点から3km未満の海域で, 27.2%が3~10km離れた海域で,8.7%が10km以上離れた場所で再捕された.こうした再捕状況から放流魚の 多くは定着性が強く,長距離の移動をする個体は僅かであることが示された.また,放流後間もなくは, 長距離の移動が行われないことも窺われた.

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大阪湾南部岬町沖に生息する底生魚類,大型甲殻類および軟体動物について

有山啓之・波戸岡清峰
Benthic fishes, large crustaceans and mollusks inhabiting
in the southern area of Osaka Bay
Hiroyuki Ariyama, Kiyotaka Hatooka

大阪水試研報(14):38~56,2003
Bull.Osaka.Pref.Fish.Exp.Stat.(14):38~56,2003

1994年12月~1997年3月に延べ9回,岬町沖の水深約35~55mの海域で板曳網 による試験操業を行った.この結果,魚類128種,大型甲殻類66種,軟体動物48種が採捕され,これらには大阪 湾未記録種も多く含まれていた.主要有用魚種9種について体長組成を調べたところ,当歳魚のみ,当歳魚と1歳 魚,当歳魚以降,1歳魚以降と,種によって生息状況が異なっていた.また,小エビ類ではサルエビ,キシエビ, アカエビのいずれもが多く,サルエビのみが優占する中部海域とは異なっていた.

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大阪湾南部に位置する人工砂浜に出現した魚類

大美博昭・日下部敬之・鍋島靖信
Fishes Occurring on artificial beach of Southern Coast in Osaka Bay
Hiroaki Omi, Takayuki Kusakabe and Yasunobu Nabeshima

大阪水試研報(14):57~71,2003
Bull.Osaka.Pref.Fish.Exp.Stat.(14):57~71,2003

1997年5月~1998年6月に,大阪湾南部に位置する淡輪人工砂浜において主に幼稚魚を対象に魚類の採集を行ったところ,76種以上11,896個体の魚類が採集された.季節的な出現種数の変化は春~夏季に多く,秋季に減少,冬季に増加した.採集個体数は春~夏季に多い傾向がみられた.また,当水域を幼稚魚の成育場としている魚種にはアマモ場でよく見られる魚種が含まれていたが,これらは海底のアオサ場に蝟集していることが推察される.

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