PM2.5汚染の実態解明と発生源寄与評価に関する調査研究

大気中に漂う粒子状物質には、物が燃焼するときに生成するもの（すすなど）、化学反応によって気体から変化したもの、黄砂など土壌が舞い上がったものなどがあります。これらの大きさ（粒径）は1nm（10^-9m)から1mm（10^-3m)まで様々です。粒子状物質は、呼吸によって体内に取り込まれ、粒径が小さければ小さいほど呼吸器の奥深くまで入りやすいと言われています。

特に「微小粒子状物質（PM2.5）」と呼ばれる粒径が2.5μm以下のものは、ぜんそくや肺がんなどの健康影響が心配されることから、平成21年9月に環境基準が定められました。
　平成23年度は7地点でPM2.5のモニタリングを行いましたが、環境基準を達成していた地点は1地点のみでした。
　PM2.5を削減するには、それがどのように発生し、どのように大気中に拡散するかをまず把握する必要があります。
　しかし、
　　・PM2.5は、硫酸塩・硝酸塩・炭化水素類など様々な物質で構成されている粒子であること
　　・PM2.5は、工場・自動車・船舶などだけでなく、土壌・海塩など自然界からも発生すること
　　・PM2.5には、気体として排出されたものが化学反応により粒子となったものも含まれること
　　・PM2.5には、黄砂などアジア大陸から飛来してきたものが含まれている可能性があること
など、発生メカニズムが非常に多様かつ複雑なため、対策に必要な知見が十分ではありません。

そこで、当研究所では、
　　（１）PM2.5を構成する成分ごとの地理的・時間的分布の把握
　　（２）発生源ごとの大気汚染物質の排出量データと（１）の結果との比較
　　（３）人工衛星によるモニタリングデータなどを用いたアジア大陸からの粒子の飛来量の推定
に取り組んでいます。

【PM2.5のサンプリング装置】