育苗期 その3
育苗期 その3
緑化期~硬化期
<緑化期>
暗室で出芽した白い苗を徐々に外界に慣らしていくために行う次の段階が緑化である。
暗室から出した直後の白い芽に急に強い直射日光にあてると障害で緑化しなくなる(白化現象)ことがあるので注意する。このため育苗箱の緑化場への移動はカンカン照りの日中は避け、日差しの弱い夕方か朝に行うと良い。
緑化期間はビニールハウスやトンネル内におき、急激な温度変化と直射日光をさけ、光を弱めるために必ず寒冷紗または遮光フィルムを2日ほどかけておく。昼間20~25℃に(夜間15~20℃)に3~5日置く。
温度が高すぎると、ひょろひょろ徒長苗になるので注意する。
畑苗代、折衷苗代に苗を置く場合は育苗箱を置床した後ビニールトンネルなどで被覆する。折衷苗代では十分に水を切り床面が乾かないうちに箱をおく。
畑に置くときは十分床面に潅水して置床する。
畑が野菜跡等で肥料分が残っていたり、病原菌がある恐れのあるときは、床面にビニールをひいて遮断するとよい。
1日1~2回程度潅水する。水のやりすぎや極度の乾燥には注意。
庭先等で周囲を木枠で囲い、その上からビニールをかぶせ、周囲をブロック等で止め、育苗箱を並べたあと、育苗箱の床土の1/2程度まで入水し、浅水のプール状にして管理する方法もある。この場合には根の発育を促進するため、常時は落水しておき、ときどきヒタヒタ水か掛け流し状態にすると良い。
<硬化期>
本葉1.0~1.5葉、苗丈3~4cm程度になったら昼間15~20℃前後、夜間10~15℃を下らないようにして被覆を外し外気にさらして管理する。この時期を硬化期と呼び、苗作りの最終仕上げ段階である。
硬化期間は稚苗では10~15日間、中苗では23~28日間程度で、この期間は苗を生長させるとともに外気の環境に慣れさせて、充実した活着のよい健苗に仕上げる。平坦部では特に寒い日以外は寒冷紗などの被覆は不要。
1日1~2回潅水する。潅水するときはたっぷりと潅水し、ある程度まで乾いてから次の潅水を行う。常時過湿に置くと根の発育が不十分になり、また極端な過乾過湿の繰り返しは立枯病を誘発しやすい。
畑苗代に箱を置く時は床面を均平にし箱と密着させ、床土が乾燥しないように適正な潅水を行う。中苗等で折衷苗代に置く時は、箱置床面より高くなる注水は徒長や根ぐされをおこしやすいで避ける。
播種から硬化完了までトータルの育苗日数は、おおむね下表のようになる。平坦部稚苗で5月下旬田植のときは26日、6月中旬田植のときは22日ぐらいを限度とする。これ以上遅れると苗の老化や肥切れなどの問題が起こってくる。
田植時期がやむをえず遅れる場合は病害の発生に注意し、適宜硫安や液肥で追肥(N成分で0.5~1.0g/1箱あたり)を施す。
地帯、苗種類、移植期別総育苗日数