大阪府産ヨシノボリ類の区別
大阪府産ヨシノボリ類の区別
大阪府産のヨシノボリ類
大阪府で生息記録のあるヨシノボリ属Rhinogobiusの魚は、上記の5種にゴクラクハゼを加えた6種が知られている。これらの魚種は形態がよく似ており、判別は困難である。 ここでは、狭義のヨシノボリ類とされるカワヨシノボリ、トウヨシノボリ、シマヨシノボリ、オオヨシノボリ、クロヨシノボリの区別点について述べる。トウヨシノボリについては複数の型が生息するが、ここではもっとも生息数の多い縞鰭型について述べる。
カワヨシノボリ
ヨシノボリ類のうち、もっとも判別が容易。カワヨシノボリの胸ビレの条数(ヒレすじの数)は、他のヨシノボリ類よりも少なく15-17(まれに18)。これに対して、他のヨシノボリでは(まれに18)19-22となる。カワヨシノボリのその他の特徴としては、ほほに小斑点の散在することが多く、体側中央に7-10個の濃色縦斑が並ぶ。胸ビレ付け根に明色域があり、その中と後ろに三日月状の斑紋がある。オスでは尻ビレは赤みをおび、尾ビレ中央部に点列があることが多い。
シマヨシノボリ
ほほにミミズ状の細長い斑紋が発達する。体側の斑紋は明瞭でY字状となる。胸ビレの基部には三日月状の斑紋が2-3個並ぶ。腹部中央は青くなる。背ビレ・尾ビレ・尻ビレには数列の濃色小斑が並ぶ。尾ビレ基部にはカモメが翼を広げたような形の黒色斑紋がある。
オオヨシノボリ
他種よりはるかに大型になり、全長では11cm以上になる。胸ビレの根元に明瞭な黒斑があり、他種とのよい区別点となる。ほほの斑紋はあまり発達しない。尾ビレ基部には上下に長い黒斑紋がある。尾ビレ自体の斑紋はあまり明瞭ではなく、特に成長したオスではほとんど現れない。
クロヨシノボリ
体色は黒みをおびていて、体側中央に細い黒色の縦条があり、尾ビレ基部で八の字状に分かれる。胸ビレの根元に三日月状の斑紋が1個ある。尾ビレの中央部に斑点列がある。
トウヨシノボリ
ヨシノボリ類の中でも体色や斑紋の変異が大きい種類で、共通の特徴は定めにくい。尾ビレ基部が橙色(オレンジ色)になることが、名前の由来であるが府内で多いトウヨシノボリ縞鰭型ではその特徴が見られず、尾ビレ下部がわずかに色づく。尻ビレ中央部には縞鰭型の名前の由来となった点列紋がある。胸ビレの基部には黒斑がある場合もあるが、胸ビレにまったく斑紋がない個体も多い。縞鰭型では成熟したオスでも、他種のように第1背びれが伸びない。