大阪府立環境農林水産総合研究所

生物多様性国家戦略について

生物多様性保全に関わる国の動き

生物多様性国家戦略

 
 生物多様性条約第6条では、”締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略(生物多様性国家戦略)若しくは計画を作成する”とされています。また平成20年に制定されたわが国の「生物多様性基本法」でも「生物多様性国家戦略」の策定を義務付けています。
 「生物多様性国家戦略」の中には、生物多様性の保全、持続可能な利用の奨励、普及啓発に関する措置、研究の推進、悪影響の最小化、国際協力など多方面にわたる施策・計画が定められ、関連する部門での生物多様性保全、持続可能な利用への取り組みも求められています。
 日本では、1995年10月、最初の国家戦略が「地球環境保全に関する関係閣僚会議」において決定されました。2002年3月には、改定されて「新・生物多様性国家戦略」となり、2007年11月には「第3次生物多様性国家戦略」が策定されました。そして、2010年3月には生物多様性基本法に基づき、名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けた取組等を視野に入れた「生物多様性国家戦略2010」が閣議決定されています。
 生物多様性国家戦略2010は第1部「戦略」と第2部「行動計画」の2部構成となっています。 第1部「戦略」では、生物多様性の重要性(・すべての生命の存立基盤・将来を含む有用な価値・豊かな文化の根源・暮らしの安全性)について解説し、現在の課題として4つの危機(・人間活動や開発による危機・里地里山など人間活動の縮小による危機・人間により持ち込まれたものによる危機・地球温暖化による危機)を取り上げて、4つの基本戦略(社会への浸透・人と自然の関係の再構築・ 森・里・川・海のつながりの確保・地球規模の視野を持った行動)を立てています。
 第2部「行動計画」では、施策を「国土空間的施策」と「横断的・基盤的施策」に分け、「国土空間的施策」では、全国的・広域的な取組として「生態系ネットワーク」、「重要地域の保全」、「自然再生」、「農林水産業」など、地域特性に応じた取組として「森林」、「田園地域・里地里山」、「都市」、「河川・湿原など」、「沿岸・海洋」について、また、「横断的・基盤的施策」では、「野生生物の保護と管理」、「遺伝資源などの持続可能な利用」、「普及と実践」、「国際的取組」、「情報整備・技術開発」、「地球温暖化に対する取組」、「循環型社会」、「低炭素社会の形成に向けた取組」「環境影響評価など」を示し、約720 の具体的施策 と35 の数値目標をあげています。

 

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