大阪府立環境農林水産総合研究所

図鑑

大阪湾の生き物

大阪湾の生き物

Q.大阪湾にはどんな魚がいるの?
Q.海の危険な生き物は?
<関連情報ページ>
Q.大阪の渚(なぎさ)にはどんな生き物がすんでいるの?

Q.大阪湾にはどんな魚がいるの?

 A.大阪湾では359種以上の魚類が見つかっています。これらの種類は、一生のうちでいつを大阪湾で過ごすか、という点から 2つに分ける事が出来ます。一つは大阪湾で一生を過ごす「定住種」、もう一つは湾外から回遊してくる「入り込み種」です。 さらに「入り込み種」は4つに分けることが出来ます。大阪湾を産卵の場とする「産卵種」、子供の成長の場とする「成長種」、 季節的に回遊してくる「一時回遊種」、そして、決まった回遊はなく、潮の流れの変化や水温の変化などで偶然に来遊する 「迷い込み種」の4つです。

それぞれの代表的な魚と種類数の割合は次のようになっています。「定住種」は コノシロスズキメバルカサゴなどで 全体の26%、「産卵種」はトカゲエソ、サヨリ、キスなどで7%、「成長種」はマイワシ、 マサバ、マアジイボダイマダイなどで17%、「一時回遊種」はヒラソウダ、マルソウダ、ニベ、コイチで1%、 「迷い込み種」はサンマ、シイラ、タカサゴ、チョウチョウウオなどで全体の49%です。

一方、生息量は漁獲量を指標とすると「定住種」が全体の37%、「成長種」が62%で残りは1%以下です。種数では「迷い込み種」が最も多いのですが生息量は 大変少ないです。
次に大阪湾のどのような場所を利用しているかで分けてみます。大きく分けて、主に海の表層から中層で生活する浮魚と主に海底付近で生活とする底魚の2種類に分けることが出来ます。浮魚は遊泳力があり主に春から秋にかけて餌を求めて大阪湾にやってきます。代表的な種類としてマイワシ、マサバ、マアジなどがいます。イボダイ、ブリやサワラといった種類もやってきます。底魚は海底の環境により棲み分けをしています。大阪湾には泥や砂の海底から岩場や藻場まで様々な環境があり、それぞれに適した魚が住んでいます。
泥や砂の海底では平らな魚や砂や泥に潜るのが上手な魚が住んでいます。多い種類はカレイ類では マコガレイメイタガレイ、アカシタビラメ、イヌノシタ、ハゼの仲間ではマハゼ、アカハゼ、ネズッポの仲間ではネズミゴチ、ハタタテヌメリです。その他にマアナゴや、高級魚であるオニオコゼなどがいます。岩場や人工的に作った魚礁では岩陰に隠れる場所がたくさんあるので多くの種類が住んでいます。数多くいるのはカサゴ、メバル、キュウセン、カワハギ、ウミタナゴ、スズメダイ、アイナメなどです。磯では潮の干満に伴う環境変化に耐える魚がいます。ギンポ、ナベカ、ドロメ、アゴハゼなどといった、ギンポやハゼの仲間が多く生息しています。磯観察などでよく見つかるのはこれらの魚です。
この他に、大阪湾のいろいろな場所に見られる魚があり、スズキ、ボラ、コノシロなどです。これらは低塩分や環境の変化に強い種類です。

関連情報ページ:大阪湾のさかな漁況通報

Q.海の危険な生き物は?

 A.大阪湾には300種類以上の魚が住んでいますが、中にはヒレの部分に毒をもった魚もいて、これに刺されるとしばらく痛みがひきません。
岩場の海藻が生えているところや砂浜の海藻がたまっているようなところなどに「ハオコゼ」や「ゴンズイ」、「オニオコゼ」がいることがあります。ハオコゼは大きさが7~8cmぐらいの小さな魚ですが、背びれ、腹びれ、しりびれに毒をもっています。 岩場の海藻の中にひそんでいると、区別がつかないこともあります。ゴンズイはナマズのような口ひげが4本あり、体には2本の黄色いしま模様があるのが特徴で、幼魚の時には”ゴンズイ玉”と呼ばれるような群をつくって生活しています。この魚は背びれと胸びれに毒をもっており、大きいもので20cm近くにもなります。オニオコゼは白身で食べるとたいへんおいしい魚ですが、背びれに毒をもっています。また、砂浜には春から夏にかけて「アカエイ」が現れることがあります。アカエイの尾はムチのようになっており、そこに毒をもった大きなトゲがあります。これらの魚は釣りでもかかることがあるので、釣れたときには十分注意して下さい。
魚以外では、クラゲの仲間である「アカクラゲ」がいます。アカクラゲの傘状の部分から長いヒモのように伸びたところに体が触れると、ミミズがはった後のようにはれることがあるので、海で泳いでいるときなどは注意して下さい。
毒はありませんが、磯の観察の時などでは岩についたフジツボなどで手足を切ったり、ウニのトゲに刺されたりすることもあります。また、大阪湾でよく見かけるカニに「イシガニ」という種類がいます。このカニは力がとても強く、ハサミではさまれるとたいへん危険です。